XRQ技研業務日誌

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堂平山天文台

堂平山天文台

 連休中、高速道路はどこも渋滞が発生しているようだ。遠くまで行き、渋滞に巻き込まれると疲労がことのほか溜まってしまいそうである。昔、「安・近・短」という言葉がもてはやされたが、遠くに行かなくても、お金を掛けなくても、宿泊をしない旅でも結構楽しむことができそうである。
 今回も、車が走り出してから行き先を考えるという気ままな旅を始めた。「天気がいいね」「爽やかな季節だね」「木々の緑がきれいになってきたね」と話しているうちに「山に行こう」と行き先が決まってきた。以前行ったことがある堂平山を目指すこととする。

 堂平山は都幾川村にある。今は都幾川町になったようだが、木の村と言われるように林業で有名なところで、堂平山は標高876m、関越道を鶴ヶ島あたりを走っているときに山頂にある天文台ドームが見える山である。
 1962年に東京大学東京天文台・堂平観測所として開設され、その後国立天文台・堂平観測所となっていた。以前訪ねたときには天文台へ通じる道路はしっかりと施錠されていた。そのため約1km手前の駐車場までしか近づけなかったところである。2000年3月、天文台は閉鎖され、施設は都幾川町に管理が移されたそうである。
 今回は嵐山・小川で高速道を降り、小川側から定峰峠を経て白石峠、そして堂平山へのルートを通った。山道なので細くくねくねと曲がりくねった道が続く。途中、たくさんの自転車に出会う。ギアを落とし、力を入れながら登っていく自転車。そのウェアーから十分に練習を積んだ人たちだと思われるが、すごいパワーである。下ってくる自転車は恐ろしいほどのスピードで豪快に下っていく。
 ただ山道のところどころで路面に亀裂が入ったり、盛り上がったところがあるのが気になる。ここにも地震の影響があったのだろうか。
 以前来たことのある駐車場に到着。そこはパラグライダーの離陸場になっていた。鮮やかな傘が風を見ながら飛び立っていく。上空にはいくつものパラグライダーが舞っている。
 車を駐車場に置き散策を始める。天文台への道が開いており、約1km、キャンプ場があるとの表示がある。この距離ならちょうどよい散策行程である。道ばたはさまざまな花が咲いていて一つずつ見ているのでなかなか前に進まない。特に多いのがスミレである。いろいろな色、種類のスミレが見られる。

 途中には大きな鉄塔の電波中継所が2カ所あり、上っていく車やバイクも結構多い。山頂には天文台と広場があり、その少し下にモンゴルのテント・パオやログハウスを備えたキャンプ場がある。
 天文台の周りを歩いていると見学できるという表示を見つけた。早速、受付で申し込み天文台内部を見学させていただくことにする。この日案内してくれたのは都幾川町に住んでいるというボランティアの方で、機械の整備のために登ってきていたところだとのことである。見学できたのは幸運だったわけである。
 91cm日本光学製のカセグレン型反射望遠鏡が設置されていた。定期的に観望会が行われていたとのこと。過去形なのは現在は使用できなくなっていたのだ。3.11の地震でドームが脱線してしまい動かないのだという。ボランティアの力で修理するには手に負えない状況である。
 現状ではこの建物の中は宿泊施設として貸し出されていて、寝室、台所、トイレ・バス完備で、ガス、水道、電気も使える、キャンプ場施設として使われているのだという。風呂からは横浜方面まで見えるそうだ。天文台内部を分割して貸し出すことができないので、この施設全体を一つのグループに貸し出すのだそうだ。何とも贅沢なものである。
 堂平は東京に近いながら冬季の晴天率がずば抜けていいところだそうで、天文ファンの利用が多いという。天文ファンならずともグループで活用するにはとても貴重な体験ができそうな穴場である。