XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

くるま旅・・・陶器市へ

shig552009-10-31

 朝晩は上着がないと応えるような気温だが、昼間は20℃を越え、腕まくりして過ごせるような気温差の激しい季節である。紅葉が美しいのはこのような気温差が激しい年だという。北の地方ではもう紅葉も終わりを迎え、雪の季節に入っている。それにしても、もうすぐ11月というのに半袖でも過ごせるというのは、やはり温暖化なのだろうか。

 この季節になると、さまざまなところでイベントが開かれる。今回は陶器市に出かけることにする。
空がだんだんと白み始め、日の出を迎える。初日の出の時には雲の間から強烈な光に射られたのだが、今日の日の出はちょっと違った。赤い風船がぽっかりと浮かんだような日の出である。眩しさのない、柔らかな光で空に浮かんでいる。ちょうど頃合いの薄い雲を通しての光のようだ。夜明けのもやが辺りを覆っている。とても優しい日の出であった。

 朝早く着いたので駐車場の整理の人たちはまだ打ち合わせ中であった。それでも最初のお客さんと言うことで中に入ることができた。まだ係の人が動き始めていないので誘導もなく、広い駐車場の中で場所は選び放題。ここぞという場所を確保。まだお店も開いていないのでゆっくりと朝食とする。コーヒーとパン、くだものという簡単な食事だが、心は豊かである。コーヒーの香りに包まれ、食後は読みかけの本のページをめくる。そうこうしているうちに、駐車場には車が続々と入ってきて、人々の動きが多くなった。身支度を調えて出発である。
 陶器市ということで、街中がお祭り気分。さまざまな趣向が凝らされている。いつもの店舗での販売だけでなく、公園の広場や店の前のスペース、路地裏にまでテントが張られ、品物が並べられている。この地で作られている陶器だけでなく有田や美濃、知床など日本各地から作品が集まっている。品物を並べている方と気軽に話をしながら散策を楽しむ。
 ふと目にとまった作品があった。かわいい一輪挿しである。掌で包み込めるような大きさで、何ともかわいく優しい形である。茶巾絞りの要領で作った作品とのこと。新聞紙をまるめて芯にする。粘土を巻き付けて布で茶巾絞りの形を作る。布を目の粗いものやレースのようなものなどいろいろ工夫することでおもしろい形が生まれたとのこと。一度焼成して、小さな口を開け中の新聞紙の燃えかすを取り去り、釉薬をかけて再度焼き上げたものだという。工房にあったさまざまな釉薬で試してみたとのことで、色もとりどりである。工人の遊び心が感じられる作品である。
 陶器だけでなく、さまざまな露店が出ている。ハチミツの店が出ていた。この地域で採取した蜜だそうで、少しずつ味見をさせてもらう。ここのサクラ蜜は色も薄く、すっきりしていた。香りの良さに惹かれて普段食べているサクラ蜜は信濃大町付近で採取されたものだが、比べると明らかに異なる味と香りである。ミカンやトチなどよく見かけるものもあったが珍しいものがあった。柿の蜜である。開花期間が短く、採取できる量がとても少ないので幻の蜜だそうだ。味は独特の香りがありおいしい。見つけたのはチャンスと、一瓶購入する。自家製ヨーグルトと楽しみたい。
 昨年、お抹茶に使おうと器を購入したテントが今年も出店していた。知床焼きという淡い茶色を特色とした作品である。詳しくはわからないが粉ひきという技法で窯の火が作り出す模様とのことである。星の宮陶房という工房をこの地にも持っているが、こちらに来るのは年に数ヶ月で、本拠地は知床ウトロなのだという。爽やかな笑顔のご夫妻と息子さんでやっているとのことで、作品は奇をてらうことなく、落ち着いて温かみと優しさが感じられる。手にしっくりと馴染み、使っていて心が温かくなるような器である。今回は羅臼岳に一番星が線描で描かれている湯飲みと粉ひきのすっきりした模様の湯飲みを手に入れた。また、来年の秋にも行ってみたい窯である。
 陶器市ではご当地グルメも盛んである。地ビール、地まんじゅう、白いたい焼き、地元のハムソーセージ、のんびりと街の中を散策し、一日を楽しんだ。