XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

くるま旅・・・海を見に行く。

shig552009-10-25

 朝晩の涼しさが寒さと感じるようになった。何気なく手を洗うとき、水道の水が温かく感じるのも気温が下がってきたからだろう。今年は夏の名残がいつまでも続いて、台風が来た後も上着を脱いで過ごしていたが、季節は一歩一歩進んでいるようだ。
 野原にはセイタカアワダチソウが至るところに繁茂している。その中にススキが風にそよぎ、草紅葉が目立ってきた。葉が赤く染まり秋の深まりを感じさせる景色である。
 
 思い立って車を動かした。行くあてのないくるま旅である。とりあえず高速道に乗り、クルージングを楽しむ。時間帯を選ぶと車の流れもスムーズで、やはり渋滞のない道路は気持ちがよい。
 今回は海を見に行く気分になり、乗っていた高速道の都合から茨城の海を目指す。北関東道ができているので海のすぐ近くまで短時間で行けるようになった。道に沿った植栽にも秋の深まりが見える。エアコンを使わずに自然の風を受けながら走れるこの季節は気分も爽やかでゆったりする。

 漁港に隣接する魚市場の駐車場に車を入れる。なんと、県営の駐車場で4時間100円という信じられないような低料金である。それも市場のすぐ近くで、付近の散策にはもってこいの位置にある。
 市場とは言っても業者間での取引ではなく、一般向けの小売りをするところである。ぶらぶらと店内を歩く。様々な魚が並べられている。ホウボウ、アンコウ、ブリ、ワカサギ、そのほか名前の知らない魚も多い。カキ、ホタテ、ハマグリ、シジミなどの貝類も豊富である。ところどころでは魚の下処理も行われている。大きなブリやサケが1本売りされているので、購入した人は調理しやすいように下処理を頼んでいる。その手際の良さについ見とれてしまう。胸びれのところから包丁を入れ、頭を落とす。腹に切れ目を入れて内臓を取り除く。背側と腹側に包丁を入れ半身を取り、もう一方にも包丁を入れて三枚におろす。半身2枚は料理用として袋に入れられる。残った中骨と頭は適当に切り分けられ別の袋に入れられる。このすべての動作が数分のうちに流れるように行われている。さすがプロである。
 見ていると味わいたくなり、市場の中にある寿司屋で少しつまむことにする。すでにいろいろな魚を見ているので「新鮮」ということが刷り込まれている。出てくるネタがどれも新鮮で味わい深く感じてしまう。魚の姿を思い浮かべながら食べていると、どんな味かを確かめたくなる。食べ過ぎ注意である。

 漁港を散策する。近くに海洋高校があり練習用のカッターが繋がれている。若人がこの海で汗を流しているのだろう。漁船が1艘係留されていて、修理をしているようだ。船長とおぼしき人と修理をしている人が話している声が聞こえる。しかし、方言が強いのか、何を話しているのかよくわからない。ちょっと異国のような錯覚を覚える。その船はトロール漁船のようで、船尾に網を展開するためらしき器具が見える。網本体は船上に山のように積まれている。その器具はお椀のような形状で一部におもりがついている。水中に入れて牽引されると、水の力を受けて左右に網の口を広げるようだ。書籍では見たことはあるが、実物を見るのは初めてである。興味深いものを見ることができた。
 漁港はこの時間は閑散としている。その一角に氷を積みに来たトラックがいた。製氷施設から大量の氷を桶に受けている。樋を利用し、スコップで氷を滑らせる。たちまち荷台は氷の桶で満たされる。何人かの人が集まり、箱に入った氷付けの魚を囲んでいる。荷札のようなものをやりとりし、話が終わると、その箱をそれぞれ車に積みこんで散って行った。施設の壁には「カツオ1本づり入荷のきまり」という掲示がある。セリを迅速にするため、どのくらいの量をまとめ、箱に詰めるのかなどが書かれている。・・・漁港の雰囲気を少し垣間見ることができた。

 行き先を定めないくるま旅。ガイドブックで調べていくのとはひと味違う景色や出来事に出会うことができる。気ままな楽しみである。