XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

修理 aiwa CSD-EL200

shig552009-10-10

 先日の台風の時、近くの川がミルクチョコレート色の水をゴーゴーと流していた。そして今朝、川の様子を見ると水量は多いものの先日のあの濁流は跡形もなく、きれいに澄んだ水が蕩々と流れている。川幅は濁流の時の三分の一程度に狭まっているが、なんと変化の激しいことか。水の量によって、ものを押し流す力がこうも変わるのだ。ほどよい水量の時には、今朝のように清流になるが、少なすぎると淀んだ流れになる。豪雨などで一時に水量が増えれば濁流になる。
 きれいな流れを見ているのは気分が休まる。秋が深まり、色づいた枯れ葉を流していくのも情緒があるものだ。

 
 さて、修理の話題の2本目である。
かつてはオーディオの専門メーカーとして有名であったが、デジタル化の波に乗り遅れ、sonyに吸収され、やがてそのブランド名までなくしてしまった「aiwa」ブランドのCDステレオラジオカセットレコーダーの修理である。
 放送大学の講座を録音するために購入した器具なのだが、しばらくは便利に使っていた。タイマーをセットし講座をカセットテープに録音していたのだ。放送時間に縛られずこちらの都合に合わせて講義を聴くことができて便利であった。そして学生証が失効する頃になると、いつしかこの器具も使われなくなっていた。
 先日、CDをかけようと取り出してみると動作がおかしい。この器具はボタンスイッチを押すことで動作を制御している。CDのボタンを押してもCDの動作にならず、ラジオのボタンを押すとテープの動作になる。電源スイッチも不安定である。ボタンスイッチの動作がでたらめになっている。
 このような場合、マイコンが暴走しているのだろうと思い、リセットをかけてみたが状況は変わらない。
 ネジを外し、内部の様子を見てみることにする。スイッチ部分は18個のタクトスイッチで構成されている。このスイッチ基板から信号線が出ているが5本しか見えない。18個のスイッチにそれぞれ別々の動作をさせるためにマトリックスを組むとすると、3×6 =18 となり 3+6 9本の信号線が必要なはずである。しかしこの装置では5本で動作させている。マトリックスとは違った、たとえば、スイッチ動作によるラインの抵抗値の変化を活用した方法が採られているのかも知れない。
 スイッチ基板のタクトスイッチの状態を調べてみる。テスターで一つずつタクトスイッチの動作状態を調べてみた。するとon抵抗値が異常に大きいものがあるのを見つけた。100Ωより大きな抵抗値を示すものが6個もあった。もし、推測通り回路内の抵抗値(電流値)によってスイッチの判定をしているとすれば、個々のタクトスイッチが、このような高抵抗値を持っていればまともな動作をするはずがない。この推理に従って高抵抗値を示したタクトスイッチを交換することにする。
 そして、配線を間違えないように注意をしながら組み立て直し、電源を入れてみる。
見事に復活した。ボタンの表示通りに操作することができるようになった。修理完了である。

 さて、取り替えたタクトスイッチが入っていた海外製の袋にこんな注意書きが書いてあった。「銀接点を使っている。酸化しやすいのでストックするときには脱酸素剤を入れておくこと」
 さて、酸素のあるところに放置しておくと酸化して使えなくなってしまうような部品が市販されている・・・のだろうか?


 もの作りはできてしまえば「なあんだ」と言われることが多いが、ものに行き着くまで、さまざまなシミュレーションを繰り返し考えることが楽しみである。