XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

秋の実り

山の実り

 気象情報で朝方9時ころから雨が降り出し、昼頃まで強く降るでしょうとの情報があった。レーダーでの資料を見ても近畿東海地方に大きな雨域があり、ところによっては強い雨が降っているようである。この雨がどのように関東に流れてくるのかが問題なのだが、窓の外の空模様を見てみると青空が見えている。
 大きな行事が予定されているのだが、実施すべきか、延期にすべきか判断の難しい状況である。夜明けから爽やかな朝になり、雲は多いものの朝日が爽やかに差している。雲の様子も明るく、どんよりとした雨雲ではない。まだらになった雲が流れている。この行事は多くの人が楽しみにしている。すでに朝日で目覚めた人々が行事の準備を始めだした。所定の時間になり、決断をしなければならない。「実施」と決定する。行事に参加する多くの人たちに気持ちの高まりを大事にしなければならない。雨が降り出した場合の処置を考えながらも、ゴーサインである。
 気象情報は精度を上げたものである。9時を過ぎるころには雨が降り出した。これまでの情報を考えると通り雨ではない。一定の時間降り、強くなる恐れもある。参加者を雨に濡れさせるわけにはいかない。行事は長時間の中断とすることにする。中止として、後日改めて実施という選択しもあるのだが、実施に向けて高まっている参加者の気持ちを削ぐわけにはいかない。気象情報を信じ、12時ころからは再開できるよう対応を取ることにする。再開へ向けて動き出すことで参加者の気持ちは前向きになるはずである。
 12時前、雨は止んできた。行事再開への作業を始める。人々が次々に手助けに出てきてくれた。大変な作業になったが、行事再開へ向けて気持ちを一つにし汗を流す姿は感動である。参加者に過度の負担をかけないよう内容を変更する。さまざまなセクションで変更によるとまどいが発生したが、互いにカバーし合い行事を進行させることができた。気持ちを一つにすることの力強さ、手を携えることのすばらしさを感じる出来事であった。


 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものである。気持ちのよい風に爽やかさを感じる季節になった。秋が深まってきた。秋と言えば収穫の秋、実りの秋である。厳しい冬を乗り切るために食料を貯蔵する時期である。しかし、流通が発達した現在では、あまりそのようなことを考える人もいないだろう。どの季節でも、常に食料が手に入ることのありがたさを感じることさえなくなってしまった。
 そんな秋の日の一日、野遊びに出た。郊外の農産物販売所に行くと、農家の庭先にできたものなどが売られている。季節ごとに変わる販売品を見て歩くのも楽しいものである。今回見つけたのは「あけび」「いちじく」である。山の中を歩けばときどき見つけられるが、所有者のわからないものをいただくのも気が引ける。このような販売所で手に入れるのも一法である。栽培品ではないようで素朴な味わいが楽しめる。
 販売所の近くの山道を散策すると、草木の実が大きくなっている。「くるみ」の木を見つけた。実は大きく、中を開けてみるとしっかりした殻が顔を出す。菓子ぐるみのようなまるまると太ったものではない。どちらかというとドングリ型の細長い殻である。山グリの木もあり、その下にはイガにくるまれた実が落ちている。しかし、栗は人気があるのか、見つかるのはスプーンのような形をした小粒の薄い実だけである。
 草の実も熟している。動物に種子を遠くに運んでもらうため、さまざまな形態になっているが、見つけたのはトゲでくるまれた実である。細いトゲなのだが協力である。ジーンズの生地を容易に突き抜けてしまう。痒いような痛みを感じ、じっくり見てみるとトゲが刺さっている。トゲだけが刺さって運ばれても種子が付いていなければ、目的は果たせないはずだが、人にとっては強敵である。
 ススキも穂を伸ばしていた。でも、よく見かける女性的な風にそよぐ枯れ尾花ではない。どっしりとした茎の葉も2倍程の幅がある。ススキに似てはいるが異なる植物なのかも知れない。
 のんびりと山里を散策し、季節の風情を楽しんだ一日である。