XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

八月に思う

shig552009-08-21

8月は戦争との結びつきが強く、生きていると言うことを考える機会が多くなる。

今年もアニメーションの「蛍の墓」が放送されていた。これを見ると「焼き場に立つ少年」の報道写真と重なってしまう。幼い少年が過酷な状況の中で妹や弟をかばい生きている姿に涙を覚えずにはいられない。特に幼い子どもたちにとって、その境遇を変える術もなくただただ精一杯に生きていく姿には、戦争が身近にない中で生まれ育った自分と比べ、その「生」に対しての計り知れない思いを感じる。そして戦争という悲惨な事態を二度と起こしてはならないと思う。

多くの方が亡くなるという悲惨な出来事があった航空機事故の現場後を訪ねた。8月はご遺族にとって慰霊の月である。航空機事故という思いもかけないことでお身内を失う無念、また事故に遭われた方にとっては「なぜ、いま、自分が・・」と突然に断ち切られた生への無念が残る事故現場であると思う。ささやかな花を持ち訪ねたのだが、言葉にならない思いであった。
生者必滅であることは誰もが知っている。いつかは自分もまた身の回りの誰もが鬼籍に入ることは知っている。病院や自宅から旅立つなら悲しみは同じであっても、その場所への思いは残らないと思う。しかし、事故の場合には突然にそれまでの生が断ち切られるという無念さから、その場所への思いは計り知れないものがあると思う。
慰霊碑に手を合わせ、事故の現場をお参りをし、事故の詳細について調べる中で、自分が今、ここに生きていると言うことがどんなに偶然であるのかということに思い至る。さまざまな偶然の重なり合いの中でこの世に生を受け、育ち、生活をしている。本当に不思議なことなのだと思う。だからこそ、今生きているというこの瞬間が貴重に思えてくる。
大内建二さんの「あっと驚く船の話−沈没・漂流・失踪・反乱の記録」(光人社)には船に関わるたくさんの事故事例が掲載されている。大量輸送を旨とする船舶であるので、一度事故を起こせばその被害は甚大である。水上という状況なので、船が被害を受ければ人間の生存は風前の灯火になってしまう。事故を起こさないようにと最善の注意をしているが人間のすることであるので、思いもよらないところから幾多の事故が起きてしまった。原因がわかってみれば単純なことでも、それが事前にわからないのが人の世である。

本の中ではたくさん方が被害にあり、非業の最期を遂げられたことが書かれているが、知的にわかったということだけであった。しかし、事故の詳細を調べ、その現場に立ったとき、原因云々ということよりもその状況に直面した人々の思いが胸に迫ってくる。自然な気持ちとして犠牲になられた人々のご冥福を祈らずにいられない。

オバマ大統領が核兵器の廃絶に一歩踏み込んだ発言をしたことをテレビで知った。その思いを実現するために、是非、広島・長崎の現場に足を運んで欲しいと願う。抽象的な議論より、現場で思い・感じることが大きな力になるように思うのだ。