XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

冬の嵐

shig552007-01-09

穏やかに過ごした正月だったが、成人式の前後は冬型の気圧配置が強まり、また低気圧が発達しながら日本列島を北上していった。北海道を過ぎた低気圧は950hPaにも発達し、等圧線が何本も縦に日本列島上を覆う状況となった。

青空が見え、日射しが温かく差し込む日曜日、久しぶりで車を走らせた。行き先は房総である。ネットで調べるともう水仙などいろいろな花が盛りだという。水仙まつりをやっている所もある。千倉の花畑にはキンギョソウやポピーがきれいに咲いているようだ。
うきうきとした気分のまま、首都高速からレインボーブリッジを通り海ほたるへ向かう。正月も過ぎたためだろうか、道路がすいている。他の車に追い抜かれながらものんびりと順調に走行する。
風の塔を過ぎ海ほたるに近づいたとき、交通情報が入る。「強風のため速度規制が出ている」とのこと。そういえば海ほたるまでは海底トンネルだが海ほたるを過ぎると海の上を走ることになる。天気図の縦に並んだ何本もの等圧線が頭をよぎる。ここまで来て引き返すのも躊躇する。速度規制だけなら何とか抜けられるだろうとそのまま走行を続けた。
自然の力は驚異である。横から吹き付ける風は緩急織り交ぜて断続的の襲ってきた。ハンドルを取られるごとに体勢を立て直すためハンドルを操作する。当然速度は規制速度以下に落としている。周りの乗用車もだいぶ速度を落としているが、私の車は高さが2m50あるためセダン以上の風圧を受ける。風の強さに合わせ必死になって方向を保つ。海は一面に白波が立ち、泥水のように濁っている。幸い走行する車の数が少ないので多少ふらついても車同士が接触する心配は少ない。側壁に接触しないようにハンドルにしがみつく。
どうにか無事に対岸に到着した。10数分の時間だったはずだが、肩から背中にかけての筋肉が悲鳴を上げている。今日はこのまま帰路についた方がよいのではという思いが浮かんでくるが、頭上の青空と暖かな日射しに後押しされ、山の中の水仙ロードを目指すことにする。
下着が一枚少なくてよい」というように房総は暖かさに恵まれているという。すでに水仙は真っ盛りとのこと。保田神社の近くで車を預け、水仙ロードの散策をする。たくさんの人々が歩いている。しかし、風はおさまっていない。山の中というのに猛烈な風である。本来なら水仙の甘い香りに包まれているはずだが、まったく香りが感じられない。背中をどんどん押される感じで歩を進める。写真を撮ってきたが風は写っていない。写真で見る景色はとてもきれいで味わいがある。しかし実際の場では風との格闘であった。帰りには向かい風に押し戻されるようになりながら歩を進めなければならない。購入した水仙の束は身体に沿わせるようにしっかりと抱きかかえなければ折れてしまいそうであった。
家に帰りニュースを見ると館山では風に押された船が座礁したという。風で飛ばされた被害も各地で起きていたようだ。冬の嵐。青空と暖かそうな日射しとは不釣り合いな強風で自然の力を見せつけられた一日であった。