XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

蟻の世界

shig552006-06-07

今日は一部でにわか雨がひどかったようだ。黒い雲が広がってきたが、幸い私の近くでは雨に降られることはなかった。梅雨前線が大きく広がっているので、この地方も梅雨入りは秒読みのようだ。

ロボットの話題がいろいろ聞こえてくる。ヒューマノイドの分野では日本は先端を行っているようだ。キリスト教世界ではヒューマノイドを作ることに抵抗があると聞いたことがある。神の創造物である人間が、人間に似たロボットを作ることは神に対する冒涜と考えるようだ。
その点、日本の風土には鉄腕アトムや鉄人28号のような下地があり、二足歩行ロボットが早い段階から研究実践されてきた。
筑波の機械研究所に行ったとき、二足歩行ロボットがハンガーに吊されていたが、身長は人間と同じくらいでも、体重は何倍もある大きさだった。ホンダのAsimoがコマーシャルに出たときにも人間以上の大きさでどしんどしんと歩いていた。
その後、小学生の低学年ほどにコンパクトになってきたが、電池などの問題からか、なかなか小さくはならなかった。
最近のニュースで身長50cmほどのロボットが大学とベンチャー企業の共同で開発され販売されるという記事をみた。pinoと同じくらいの大きさで、関節の自由度が大幅に改善され、動きもスムーズになっている。

私の仕事部屋は庭に面している。窓のところには植物を置いているが、先日たくさんの蟻に襲われてしまった。窓の隙間から蟻の行列が植物のところまで続いている。何を求めてきたのかわからないが、大変な数である。それも小さな蟻で体長は5mmにも満たない。胴体だけなら2〜3mmしかないであろう。その小さな蟻が自律して動き回っている。
やっとロボットが50cmの大きさであるのに、この蟻たちは6本の脚を使い、自ら道を探し、何らかの目的を持って動き回っている。脚を動かすための仕組みは?消化器官は?感覚器官は?神経系・頭脳は?虫眼鏡でなければよく見えないほどの小さな身体の中にこれらの機能が詰まっている。すばらしい造形物である。生き物のすごさを改めて見た思いである。

諏訪セイコー社の展示室に指先ほどのロボットが展示されていた。光を感じると車輪で移動するものである。時計を作る精密機械技術で組み立てた物だという。しかし、さらに小さいこの蟻ほどの動きの自由さはない。細胞を挟むほどのマイクロツールも作られているというが、この蟻ほどの自律性はない。

生命の巧みさは人間の英知を遙かに超えたものである。部屋に入ってきた蟻は部屋の外にキャンディーを置き、窓の通路をふさぐことで退散してもらったが、この小さな蟻の存在に自然のすごさを見せられた。