XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

時代遅れの通信方法?

shig552006-04-29

やっとゴールデンウィークになった。ほぼカレンダー通りの休みが取れそうだが、どうなることやら。今日は朝から高速道路の渋滞が伸びている。長い人は9連休と言うが長距離の旅行に行く人が多いようだ。天候はすっきりしない。せっかくの休みなのに。

一番単純な通信方法はモールス信号かもしれない。電波の断続で長点と短点の組み合わせでアルファベットやイロハ、数字を送ることが出来る。昔は長距離通信での花形だったが、今では商業通信の世界では姿を消してしまった。アマチュアの世界でも国家試験の項目から削除され、過去の遺物になりつつある。
しかし、この単純な通信方法はとても奥深いものがある。原則的には短点1に対して長点3、短点と長点の間隔が1、符号と符号の間隔が7と決められているが、立振電鍵などでは微妙にその割合が異なり、人それぞれの符号になっている。
今はエレクトリックキーヤーが使われることが多く、この割合はプログラムされてほぼ一定になっているが、それでも、スペース部分など人それぞれの個性的な符号がある。
伝搬状況が悪く、雑音に紛れてかすかに聞こえるモールス符号を追いかけるのは、長距離通信をしているという醍醐味がある。耳を澄ませ、雑音の中に浮かんだり埋もれたりする符号を読み取り、何回も何回も繰り返しながら一つのメッセージを交換するおもしろさは格別である。
電話のように通じるのは当たり前、伝搬状態が悪ければ通話不能というデジタルの世界ではなく、全くのアナログの世界で、電離層の状況に応じて行われる通信は、自然の中で通信しているという貴重なものである。豆電球が点灯するぐらいの0.5wという小さな出力のトランシーバーでも国内はおろか海外との通信も可能なモードである。
確実性、再現性という面では現在の海底ケーブルの通信や衛星通信など、また、デジタル化されたメールやIP電話には太刀打ちできないが、地球と電離層の間で反射しながらやっと信号が届いたという通信はアナログ通信として人間的な温かみを数倍感じることが出来る。

単純で省エネなこの通信手段は、歴史の事実として文字に残されるだけでなく、実際に利用する状況で残しておきたいものである。アマチュアの世界は効率性や再現性とは距離を置いた世界である。アマチュアがこのA1モードを保存し、活用する唯一の存在である。唯一の集団であると自信を持って保存活用し、楽しんでいきたいものである。