XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

暗いペンライト

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あまりに暗いペンライト

 ペンライトを入手した。単四乾電池2本で動作する。対応電圧は0.9V~3Vとなっていてインバーターによる昇圧回路が組み込まれているのであろう。私は1.2VのNi-MH充電池2本で使っているが、正常に動作している。
 このペンライトは尾部がプッシュスイッチになっていて、ON-OFFを行う。また、このボタンを半押しをするとHigh-Mid-Low の3段階に切り替えることができる。LEDは日亜化学のものが使われ、演色性に優れている。多くの白色LEDと言われるものでは明るさはすごいのだが赤などの色彩が青みがかって見えることが多い。ところがこのライトではきれいな赤に見えるのだ。太陽光に近い光線になっているようだ。
 私はこのようなライトを他にも複数持っているのだが、このライトには特徴的な機能があった。それはLowで動作させたときの暗さである。通常明かりとして使うのだから明るい方が望ましいのだが、状況によっては程よい明かりが欲しい時がある。テントの中などでの使用では、他の同行者が寝入っていて、何か荷物を探したい場合など明るいランプは不適当である。ものの形が判別できるほどの微かな明かりがあればいい。また、星空を観察するなど暗い中での活動の場合、夜目に慣れているのに強い光を使うのは困りものである。微かな明かりがあれば助かる場面がある。その微かな明かりの機能がこのペンライトのLowなのだ。昼間にこのライトをLowで点灯しても、直接LEDを覗かなければ点灯していることに気づかない。夜間でも他に光源がある状況では、Lowの点灯はほとんどわからないほどの微かな明かりなのだ。
 当然、プッシュスイッチを半押しをすればLowーHighーMidというローテーションで明るさを変えることができる。しかし、Lowの状態でスイッチを押し、OFFにした場合、次にスイッチを押してONにしたときにはLowの状態で点灯する。つまり、最後の動作状態が記憶されている。
 ちょっと太めのボールペンのような形状で、胸ポケットにさしていてもあまり違和感は感じない。取り扱い説明書には通常の電池使用でHigh:35分 Mid:25時間 Low:50時間との稼働時間が記されているが、実際の測定はしていない。Lowの微かな明かりを使う分には結構長時間の使用が可能のようだ。
 ライトは明るい方がよい場合が多いのだが、今回、あまりの暗さのライトに出合うことができた。普段はMidで使用し、状況に応じてHighやLowを使用する。ほとんどの製品がHighとLowと謳っていてもHighとMidであり、暗い明かりがなかった。Midより暗いLowの使い勝手の良さに気づいた次第である。

CW Check

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CW技能検定アプリ

 

 電信は難しい。モールス符号を覚え、とりあえず交信ができるようになるのはそれほど難儀ではない。約号を使ったり、決まり切った内容の送受だけの短時間の交信なら容易である。しかし、平文のやり取りとなると単語の数も多くなり、聞いていて心地よい符号を送りあうには習熟が必要である。
 モールス符号は通信を行うための符号なので、その符号構成については規定が定められている。短点の長さを1.0とすると,長点3.0、符号間1.0、文字間3.0、単語間7.0が基準である。手送り送信で行うので多少のぶれが出るのだが、聞いていて心地よい符号を送るには極力、基準に近いことが求められる。つまり、ぶれがあったとしてもその偏差は最小である必要があるのだ。
 エレキーを使った場合、短点・長点・符号間の長さはパドルの操作に対して補正が加えられる。そのため、ほぼ基準に近い符号を打つことができるのだが、字間や単語間の長さは補正が効かず、パドル操作の如何によってその品位が決まってくる。更に、縦ぶり電鍵で操作する場合にはすべての要素が操作者の技量に係ってくるので、きれいな符号を送るのは至難である。

 この技能を確かめるためのアプリがテスト版ではあるが公開されている。JA3CLM高木さんのDSCW(Digital Sound CW)のサイトである。CW Check(CW技能検定)というモールス符号を構成する要素の偏差値を集計して判定を出してくれるアプリである。
 早速試用させていただいた。サイトからZipファイルをダウンロードし解凍すると必要な情報が得られる。PCと電鍵を繋ぐインターフェースにAruduino Unoを使っている。Aruduino UnoはUSBのインターフェースを搭載しているのでそのまま使える。電鍵入力を行う簡単な工作のシールドを乗せ、モールス音を聞く為の圧電スピーカーもシールド上に取り付ければ動作する。
 このアプリは欧文にも和文にも対応していて、それぞれ問題文が出され、それを電鍵やパドルで入力していく。3級から名人位までランクがあり、文字数と制限時間が異なる。当然上位になるほど速いスピードできれいな符号を送ることが求められる。
 説明書にも、アプリによる符号の正誤判定が難しいと書かれていたが、きれいな符号を入力できればすんなり合格をもらえる。しかし、符号にならないような入力をするとアプリが動作を止めてしまう場面もあった。下手な入力では相手のもしてもらえないアプリである。ある程度上達して入力すると、数値によって具体的な品位が判定される。丁寧に平文を打てるようになるための励みになるアプリである。
 作者の高木さんは説明文の中で「上級位技能検定に挑戦していただくこと以外に、偏差値をより少なくリズミカルで綺麗なCWが打てるように、電鍵操作技能向上にお役に立てば幸いです」と書かれている。電鍵操作技能の奥深さに向かってさらに進んでいくためのツールを提供していただいているように思う。単に交信ができるというレベルから、綺麗な符号を送れるという更にもう一歩前に進むためにこのアプリを有難く使わせていただきたい。
 それにしても、綺麗な電信は耳に心地よいものである。
 

アワード

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特定の局を追い求める宝探しのような面白さ

 交信にはさまざまなスタイルがある。移動運用やアンテナ・送信機のテストをする為の運用では「交信できるかな」という意味合いが強く、「どなたかお相手いただけませんか」という呼びかけになる。どの局でも良いので交信してほしいという運用だ。それに対して常置場所での運用では交信できることが前提で、電信では和文や英文で会話を楽しむおなじみさんとの交信がよく聞こえてくる。また、1stQSOの局をねらったり、移動運用している局を探して、599や運用地点の交換のみの短い交信をすることもある。また、特定の条件を満たした局を探すということもある。お空の上での宝探しのような交信である。

 先日、ある特別局と交信した後、運用者からメールをいただいた。その特別局との交信を含む所定の交信を条件としたアワードが発行されているとの案内であった。アワードとは規定された条件を満たす局と交信をすることで得られる賞である。その「北海道・北東北の縄文遺跡群世界遺産登録記念アワード」は遺跡が所在する14の市・町のアマチュア局と交信することがA賞の用件だという。5市・町の局と交信すればB賞が頂けるとのこと、チャレンジを始めた。このアワードは期間が8月1日から12月31日までと短い。ログブックを調べたのだがこれまで条件を満たす局との交信はほとんどなかった。遺跡が所在する市の一つ八戸市の局とは何度も交信していたのだが最新の交信は7月で、このアワードには適合しない。あまりこれら地から電波を出している局は多くないのかもしれない。加えて電信での運用局は限られている。14の局と交信するのは難しいようだが、せめて5つの局と交信してB賞を獲得したいものである。
 条件を満たす局との出会いは稀である。ひたすらワッチを行い、リグにかじりつく。「下手な鉄砲も数打てば・・・」で必然的にアクティビティーがあがってくる。

 アマチュア無線局数が減少傾向からすこし増加に転じてきているという。相手が居ての交信であるので、たくさんの方がお空に出てくることに期待が高まる。しかし運用形態はSSBやFMなど音声を使った交信が主流で、最近ではさまざまなデジタルの交信も増えている。無線の原点とも言われる電信モードに出てくる方が増えるかには一抹の不安があるのだ。

 残り2、3ヶ月の間でこのアワードを獲得できることを期待したい。無線においても目当てがあることが運用の励みになっているのだ。

 

庭先移動運用

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コンパクトな設備で庭先移動運用

 

 このところ天候があまりよくない。そのせいではないだろうが、伝播の状態も芳しくない。ダイヤルを回してもノイズだけで交信が聞こえてこないのだ。
 この日は久しぶりに晴れた。朝から青空が広がっていた。気分よく一日が始まる。野外で運用したい気分である。しかし、コロナ禍で行動自粛が叫ばれている。もう長い間食料買い出し以外の外出をしていない。爽やかな風を感じながら運用をしたいものである。そこで、部屋を出て庭先で運用することにした。
 持ち出した設備は以前ブログで「クイック設営、クイック撤収」で扱ったトップ・ベースローディングのバーチカルアンテナとQCX-miniである。電池はリチウム電池3本、出力は2W程度だろうか。このような貧弱な設備でどの程度の交信ができるかチャレンジである。
 40mバンドを覗くとこの日は結構にぎわっていた。ワッチをしていくとコンテストが行われているようである。これなら交信ができるかもしれない。1エリア(関東管理局管内)の近隣局は聞こえていない。3エリア(近畿管内)や4エリア(中国管内)8エリア(北海道管内)が聞こえている。強力に聞こえている局に呼びかける。なかなかこちらの呼びかけに気づいてもらえない。繰り返し読んでいると「JA1?」というコールバックがある。繰り返してコールサインを送るとやっととってもらえた。コンテストナンバーを交換して交信成立である。岡山の局であった。その後大阪と兵庫の局とも繋がったが、こちらのシグナルが弱いので、コールサインが一文字違ってコールされ、それを訂正するという手間を取らせてしまった。このような貧弱な設備では相手局に迷惑をかけてしまうのだが、その不安定な信号にも根気強くお相手いただけることに感謝である。北海道の局にも呼びかけたのだが、「JA1?」とコールバックされるが、なかなかサフィックスを伝えることができず、相手局から「SRI CU」と打たれて、交信をあきらめざるを得なかった。
 ほんの30分ほどの運用だったが、掌に乗るようなシンプルな設備でも交信することができた。
 その後、庭先での運用だったので家の前を通りかかった方から「無線をやっているのですが?」と声を掛けられた。通りから丸見えの庭で釣り竿を伸ばしてこちょこちょとやっているのだから不審に思われても仕方がない。それを無線と気づかれたのだから同好の士であろう。話をすると近隣のハムであった。コールサインを聞くといつも強力なシグナルを送っている局の方だった。マンションの高層階から100Wで運用されているとのこと。コロナ禍が収まったらゆっくりお会いしましょうと短時間のアイボールだった。
 その方の話から、素晴らしい設備で運用されていても、伝播コンディションの影響は大きいとのことだった。QRPはまさにコンディションの影響を受けるのだが、今日のようにコンテストなどで多くの局がお空に出ているときには結構楽しめるものである。 ”それでも電波は飛んでいく”ということを再確認した庭先移動であった。

コードを携帯する

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パラコードを携帯しやすいようにまとめる

 細い紐、細引きなどと呼ばれるコードが手近にあると何かと便利である。束ねる・くくる・固定する・引っ張る・押さえる・持ち運ぶ・・・・などさまざまな場面で使うことができる。しかし、長いがゆえにこんがらがってしまい、いざ使おうとしたとき使えなかったり、持ち運ぶとき嵩張ったり、困ることが多い。
 そこで、持ち運びやすく、使う時には容易に伸ばせるまとめ方を考えてきた。
 まず、【A】身近におけるようにとブレスレットに編んでみた。しっかりと編んでいるので形も崩れにくく、見栄えも良い。しかし、コードとして使うには解くのに手間がかかる。非常用として使えるというレベルだ。また、日常これを手首に付けているのはしんどい。
 次に試したのが、【B】編み込んでまとめる方法である。引き解け結びの連続で端を引けばたちどころに1本のコードになる。しかし、この端の部分の処理がくせ者である。編み始めのところに結びつけておくのだが、結構解けてしまうのだ。また編み込みの回数が多いのでまとめるのに時間がかかる。
 それではと、【C】原点に返り8の字に巻き取って、それをぐるぐる巻くことでまとめてみた。小さくまとめることができ、荷物の隙間にも押し込める。ただし、手近に置く為に吊しておくのは難しい。
 最近思いついたのが【D】2本取りで編み込む方法である。吊すこともでき、自然に解けることもない。コードに戻すのも一瞬である。
① 全体を2つ折りにする
② 2本の端を8の字結びでまとめる
③ 折り返した部分の5cmほどから2本一緒に引き解け結びをする
④ 引き解け結びの輪の中にコードを折り返して入れ、輪を作る
⑤ これを繰り返してコードを編んでいく
⑥ 最後はこの輪の中に、最初の5cm程の折り返し③を通す
この折り返しの部分にカラビナなどの接続器具と使って持ち物に吊るす。(説明書pdf)       
 パラシュートコード(パラコード)と呼ばれる7芯の4mmφを使っている。ナイロンやポリエステルの7芯や9芯の糸を組み合わせ、編組で覆ったものである。柔らかく扱いやすいが耐荷重が250kgと言われかなり丈夫な紐である。しかし、静かに引っ張る力には強いが鋭角なものに触れたり、熱にあったりすると断裂してしまう弱点がある。それでも日常の生活場面でさまざまな活躍をしてくれるコードである。2~3mの長さがあればほとんどの場合、間に合うので、私はそれを上記の方法でまとめてザックなどに付けている。ちょっとしたアクセサリー感覚である。

結ぶ

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結びの女王、と王様

 動画サイトを探すとロープワークや結びといった結索法がたくさん紹介されている。糸や紐、コードやロープなど、互いを絡み合わせて繋ぎ合わせる方法である。結びはその多くが結ばれた部分に力が加わることで互いを締め付け、密着する構造になっている。結ぶ素材はさまざまだが、それをどのような手順で操作するかが興味を惹くところである。
 本結びという基本的な結びでは両方の端をU字に折り返えし互いを輪の中で交差させるように組み合わせる構造である。普通は両手で紐の端を持ち、交差させ、更に内側同士が接するようにそこにできた輪の中を通すことで結んでいる。言葉で書くとわかり辛いのだが、日常の中では無意識のうちに行っている。結ぶという手順を身体で覚えているのだろう。
 繰り返し繰り返し手順を練習することで結ぶ動作が出来ている。例えばロープの端に身体を固定する場合にもやい結びが使わる。登山や救助の場面などで、素早く確実に結ぶ方法である。自分の身体にロープを回し、その端をもって長い方のロープに手首ごと巻き付け、一度端を持ち換えて手首に巻き付いたロープから端を引き抜くともやい結びができている。ほんの数秒で結ぶことができる。このもやい結びは「結びの王様」とも呼ばれている

 この結びの手順で、最近手品のようなものを見つけた。手のひらにロープを3回巻きつけ、一回だけその位置を動かし、その巻きつけたうちの一つを指先でつまんで引くともう結べているというものだ。ロープの途中に輪を作る結び方で、「中間者結び」「アルパイン・バタフライノット」「バタフライループ」「ラインマンループ」などと呼ばれ、とてもしっかり結べてロープの途中にありながら出来た輪の大きさはロープを強く引いても変わることがない。因みにこの結びは「結びの女王」とも言われている。」
 この結びは通常、ロープの途中を2回捩じって2つの輪を作り、輪の先端をそのロープに近い方の輪の中をくぐらせることで結ぶ。ロープを引くことで輪の根元がしっかりと締まり所期の機能を果たしている。
 この結び手順を手のひらを使って行うことで手品のようになるのだ。詳しいやり方についてはこちらpdfを見てほしい。
 生活の中で生み出されてきた結びはそれぞれの文化的な背景があり、農作業や狩猟、牧畜や造園、搬送や収束などさまざまな場面で伝承されてきたものだ。そのどれもがきれいな構造を持っている。また、どのように結ぶかという手順も伝承されている。同じ結びでも手順が異なると異なる名称であることもある。手元にあるコードで手軽に楽しめる文化遺産である。

戦争というもの

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戦争というもの

半藤一利 株式会社PHP研究所

 戦争とは破壊であり、その損耗にどちらが耐えられるかの我慢比べだ。苦しみを生み出すだけで何の解決にもならない。起こしてはならないものだ。

 著者の半藤一利さんは平成3年1月に逝去されたという。終戦を少年として体験し、文芸春秋などの編集長をされ、昭和史研究の第一人者として歴史探偵とも呼ばれた方だという。高齢になって、転倒による骨折で入院され、ベッドの上で企画されたものの一部がこの本だそうだ。
 扉に「人間の眼は、歴史を学ぶことではじめて開くものである。」とある。本は平易な文で構成され、大東亜戦争の時系列でその時々の「名言」を中心にした14の話である。「名言」とはその時代の雰囲気や状況を凝縮したもののようである。
 山本五十六の「一に平和を守らんがためである」という言葉から始まる。ABCD包囲網で経済封鎖をされ、米との交渉も進展せず、開戦を目前とした会議において発せられた言葉だという。戦争に突き進んでいく過程においての状況が読み取れる。
 この本の最後の話は8月9日のソ連参戦の際の参謀次長河辺虎四郎中将の「予の判断外れたり」で終わっている。
 企画では37話が収めれれるようになっていたというが、未完になってしまったようだ。編集者であるお孫さんに託された「戦争がいかなるのもか」という筆者の思いが詰まった本になっている。
 政治や軍事など大上段に構えて論評するものではない。その当時の世論にを示すものとして、また、時世を表わすものとして名言を切り取り、一つ一つの言葉が発せられた状況を見ていくことで戦争というもののさまざまな側面を見る内容になっている。私はほんの数時間で読み終えたが、身近にある戦争という視点で多くのことを考えさせられた。

 宇宙、サイバー、電磁波、無人機、生物、AI、・・・など戦争の状況は代わっていくようだが、破壊によって大きな被害がもたらされることに変わりはない。多様性を認めつつ互いを尊重し戦争に依らず紛争を解決する術を探ることを大事にしなければならない。日本では戦後76年を過ぎる。私を含めて実体験を伴った戦争は知らない人がほとんどだ。しかし世界では戦火が絶えることはなかった。戦争とは何なのかということをさまざまな視点から知っておくことが必要なのだと思う。