XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

これだからやめられない

f:id:shig55:20201111084510j:plain

QSLカードが届いた

 JARL(日本アマチュア無線連盟)からQSLカード(交信証)が届いた。その中に、すごいカードが含まれていた。

 電波は直接届く場合もあるが、短波の場合、電離層などに反射して届くことが多い。どのような伝播経路をたどるのかは定かではないが、太陽からの影響など自然の営みの中で常に変化する状況で伝播している。携帯電話に使われている極超短波では直進性が強いので直接届くのがほとんどで、自然の影響を受けることは少ないが、短波では電離層などの状況がそのまま電波の伝わり方に影響する。

 届いたカードには同じ日に6つの周波数で交信したことが記されていたのだ。このようなことはめったに起こることではない。特別なカードである。
 この日はコンディションがことのほか良く、高い周波数でも全国に伝播していたようだ。
観音寺市に移動して運用していた局と、7MHz、14MHz、18Mhz、21Mhz、24MHz、28MHzでの交信をすることができたことがその交信証に記されていた。さすがに1枚のカードでは記載できず2枚のカードになっている。相手局は公園での移動運用で50Wの出力、アンテナはロングワイヤなどが使われたとのこと。私の設備は7,14MHzでは3W、18MHzは2W、21,24,28MHzは2.5Wという小電力で、アンテナはワイヤーを地上高5mほどの高さに伸ばしたものであった。
 たまたま、伝播の条件が整ったおかげで交信できたのだが、こうした偶然を楽しむことができるのがアマチュア無線である。技術的興味から、いかに効率よく電波を受け、送ることができるかを工夫していくのだが、そこに自然条件という要素が加わることで面白さが増してくる。偶然ともいえる諸条件の動きの中で電波が思いもよらない伝わり方をし、人と人を結び付けてくれる楽しみである。
 7MHzで7:52に交信をし、だんだんに周波数を上げていき、9;47に28MHzでの交信をしている。相手局と打ち合わせをしたわけではなく、その局が周波数を変更するごとに呼びかけて交信できた結果である。移動運用でたくさんの方との交信を楽しんでいらした中に割り込ませていただいたのだが、2時間余りの間で6つの周波数帯で繋がることができたのはラッキーと言うしかない。

 こんな偶然に出合うとますます無線が面白くなる。これだからアマチュア無線はやめられない。

 

部品チェッカー

f:id:shig55:20201101090417j:plain

components Tester

 製作をしていると部品の素性を調べたい場面に頻繁に出会う。ダイオードの極性であったり、トランジスタやFETのピン接であったり、また、抵抗やキャパシタの値であったり。データーシートや部品に書かれている数値を見ればよいのだが、いちいち資料を探すのは面倒だし、老眼になってきて細かな数字やカラーバーが見にくくなっている。簡単にこれらをチェックをするツールがあると便利である。実は私もPEAKのDCAや中華製のモジュールのものを活用しているのだが、今回、それと同じような機能のものがArduinoで作れるというのを見つけた。
 YouTubeを見ていてみつけた、製作を紹介する映像である。ハンダ付けや穴あけなどの同じようなシーンが長々と続くものだったが、できあがったものには興味を惹かれた。
 Easy Techさんの映像で、コメント欄にはホームページを開設していることが記されていた。それによると、元々は ”AVR Transistortester ”として Karl-Heinz Kubbelerさんが開発したAVRベースのものをArduinoに移植したもののようである。

 Easy Tech さんのサイトには製作に必要な部品や回路、スケッチが掲示されている。製作させてもらおうと思い、そのスケッチをコピペしてIDEに載せてみた。しかし、引っかかってしまいコンパイルできなかった。ライブラリーが影響しているのかなど悩んだのだが、ふと、Easy Techさんのサイトを見直していた時、スケッチが表示される窓の下にダウンロードできるURLが書かれていることに気づいた。そこからスケッチをダウンロードしてそのスケッチをIDEに載せてみると、うまくコンパイルすることができた。画面からのコピペでは文字化けが出ていたようだ。
 Easy Techさんのオリジナルのものでは、電源関係に18650のリチウム電池が使われ、それに充電するためのモジュールや、9Vに昇圧するためのモジュールが使われ複雑になっている。ここは006Pの積層電池に代えて、回路を簡略化することにした。製作記事
 組あがって電源を入れてみるがLCDの表示が出ない。I2Cでの接続なので、そのアドレスが影響しているのだろうと推理し、確認する。オリジナルのスケッチは0x27と書かれていた。I2CアダプタのアドレスをArduinoのアドレス確認スケッチを使って調べてみると、案の定 0x3F であった。アドレスが違っていたのだ。スケッチを書き直してあらためてコンパイル、書き込みをすると表示が出て動作を始めた。動作には多少時間が掛かるが様々なデバイスの情報がLCDに表示される。なかなかの機能である。

 Arduino nanoとわずかな部品でこのような機能が実現できることは驚きである。この素晴らしいプログラムを公開してくれた方々に感謝。 

ボトルキャップでタッチパドル

f:id:shig55:20201020090201j:plain

ペットボトルのキャップにタッチパドルを入れました。

 

 ペットボトルのキャップはさまざまな色があり、ただ捨ててしまうのはもったいなく思える。だんだん溜まっていきリサイクルに回すのだが、いつも何か利用できないかと考えている。
 ネットでは「一部を切り取ってカード立てにする」とか「並べて熱をかけコースターを作る」「マグネットピンにする」「切り抜いてカラフルなボタンにする」などいろいろ工夫している取り組みが散見された。「植木鉢にしてミニミニ多肉植物の寄せ植えを作る」という信じられないようなことをしている人もいた。

 これまでもこのボトルキャップを活用して、コイルを収納した9:1トランスフォーマーやSWRインジケーターなどを作ったが、今回はタッチパドルを作ってみた。キャップを眺めていて、2つのキャップを直接綴じ合わせることもできるのではないかと考えたのだ。キャップの中に回路を入れ、その両側をタッチパッドとする仕組みである。回路的にはこれまでいくつも作ってきたものと同じ、CMOSのロジックICを使ったものである。指を通して流れるごく微弱な電流を利用してキーヤーを駆動する。冬など皮膚が乾燥してくると電流が流れづらくなり、多少信頼性に欠けるところがあるのだがコンパクトに作ることができる。そして機械的な部分がないので壊れにくく、どんなところに押し込んで持ち運んでも大丈夫という特徴がある。
 キャップを2つ合わせると幅が28mm程になる。親指と人差し指で操作するのに不都合はない。ただ、他方の手でこれ自体を支えなくてはならないので、両手が塞がれてしまう。机上での落ち着いた運用やコンテストでの多忙な運用ではなく、野外での移動運用でなら十分使えるだろう。メインパドルではなく、サブパドルと位置付けて装備の片隅に入れておくのもよいと思う。

 さて、出来上がってみると、なかなか可愛い。キャップは色を遊べるのがいい。気に入った色の組み合わせで作るのが面白い。キーヤーに接続して運用すると小気味よく符号を送り出してくれる。加齢とともに失われていく肌の保水性はまだ失われていないようだ。 当初心配していたキャップ同士の接合だが、ホットグルーを両方のキャップの内側の周りに塗布し、2つを合わせると接着できた。案ずるより産むが易しである。ホットグルーなので取り外しも容易であり、気分で色の組み合わせを変えるのも面白い。ほんのわずかなリユース、リサイクルだが日常を楽しんでいる。

NVIS動作

f:id:shig55:20201010102732j:plain

地上高が低いのでNVIS動作?

 電波の伝播経路には直接波、電離層反射波、山岳などの回析波、ダクト反射波、流星痕反射波などさまざまな経路があるようだ。今通信している電波がどのようにつながっているかは想像するしかないが、さまざまな経路を辿っていることは間違いないであろう。実際、信号がエコーになって聞こえてくる場合があり、電離層と地上の間で反射を繰り返し、最短距離で届いた電波と地球を逆回りした電波とがわずかな時間差で聞こえることもあるという。
 さて、我が家のアンテナだが、地上高5m程の高さに設置している。これまで漠然とダイポールと同じような指向性で電離層反射で通信ができていると考えていた。しかし、NVISという伝播の仕方があることを知って、少し様子が違うのではないかと思えてきた。
 アンテナは地上高によって打ち上げ角が変わってくる。ダイポールなどのアンテナでは1/2λ以上の高さに伸展したとき、本来の指向性が出てきて、それより低い地上高の場合には打ち上げ角が高くなるようだ。すなわち地上高が低い場合、真上近くに向かって電波を打ち上げるようになる。この性質を使った伝播をNVISというのだそうだ。
 Near Vertical Incidence Skywaveという垂直に近い向きに電波を打ち上げ、電離層によって真下近くに反射させることで、近距離間の通信を行う方法である。もともとは短波を使った軍事関連の通信で近距離での不感地帯を解消するために使われたという。
 あえて地上高を低くし、打ち上げ角を大きくして行うNVISなのだが、私の場合、諸事情から高いアンテナが上げられず低いアンテナになっている。そのため、EFHWアンテナであっても横方向への伝播よりも上空への指向性が出てしまっているようだ。そう考えると、国内との通信が主であり、遠くの海外局との交信は稀なのも納得できる。
 打ち上げ角は波長に対しての地上高から決まってくるので、高い周波数では波長が短くなることから、アンテナの実際の地上高が低くても打ち上げ角はそれほど高くない。私の5m高のアンテナであっても21MHzや24MHzの場合には低い打ち上げ角になるようである。7MHzや3.5MHz、1.9MHzではNVIS動作と考える方が良いようだ。

 電離層反射ということで相手局との中間辺りの上空に電離層が現れれば通信ができると考えてきたが、アンテナの打ち上げ角という視点から考えると、どうも違うようだ。真上の電離層が変化することで、聞こえる局が時間とともに北海道から九州に移ったり、近畿が強くなったり、関東が全く聞こえなかったり、フェージングで信号強度が大きく変動したりするなど複雑な要素の中で起きていると考えられる。
 電波がどんな経路で2つの局の間を繋げてくれているのかは想像するしかないが、宇宙と地球という営みの中で、その時アマチュア局同士を偶然に結び付けてくれたことを想いながら交信を楽しみたい。貧弱なアンテナからもそれなりに電波は飛んでくれる。どんなルートで相手に届いているのかを想像するもはおもしろい。

缶バッジを作った

f:id:shig55:20201001000051j:plain

A1CLUB M1 メダル画像

 A1CLUBという電信をこよなく愛する仲間の集まりで、どれだけ多くのクラブ員と交信したかをカウントする企画がある。その数が100局を超えるとチーフの称号が与えられ、1000局を超えるとマスターの称号が得られる。できるだけ交信の機会を増やしクラブ員と出会うことを目指してきたが、なかなか数が増えなかった。QRPで貧弱なアンテナ設備では電離層がうまく電波を反射してくれる自然の条件に頼るしかなく、カウントは伸び悩んでいた。電波が飛びやすい場所に移動して運用するのも一つの方法だが、なかなか出かける機会がもてない。どうすれば交信数が増やせるか考えていたのだが、周波数帯が異なればそれぞれの交信をカウントできると言うことを知り、貧弱な設備ながらもいろいろな周波数帯で運用するようにした。そして、やっとM1(マスター1)の称号を得ることができた。C(チーフ)称号を得てから何年かかっただろう。クラブではすでにM4という4000局以上のカウントを得ている方もいるのだ。

 クラブ事務局からM1称号のメダル画像をいただいた。長い間の努力の結果なので嬉しい限りである。これを何か形のあるものにしたいと思った。とりあえず、缶バッジにすることにした。
 缶バッジは近くの写真屋さんで作ったことがあった。画像データーを持ち込むと缶バッジとして仕上げてくれる。しかし、その写真屋さんはご時世の写真離れの影響で撤退してしまっている。ネットを探していると100均ショップで「缶バッジ製作キット」が売られているということがわかった。何人もの方がその製作法を紹介していた。簡易的な方法だが安価にできそうである。さっそく、近くの店を回ってみるがどの店も置いていないという。ネットの情報でも品薄で入手が難しいとのこと。別の方法を探すしかない。
 缶バッジを作ってくれる業者はたくさんあり、数がまとまれば安価に製作できる。しかし、最低でも30個は作らなければならない。これでは自分だけの1個だけの缶バッジを作るのには向いていない。いろいろと探すうちに、1個からでも作ってくれる業者が見つかった。料金は安くはないが手が出せないほどではない。画像を送り、料金を振り込んで、数日で届いたのがこの缶バッジである。
 こんなおもちゃ・・・と思われそうだが、これが趣味の世界である。たった一つの自分だけの記念品。他に人には何の意味もないものでも、私にとっては貴重な物なのだ。
 目標があることで一日一日を生き生きと過ごすことができる。次のM2(クラブメンバー2000局との交信)を目指してハムライフを楽しんでいきたい。

計算の面白さ

f:id:shig55:20200920181451j:plain

トラップEFHWの長さを計算で導く

 もちろん、百ます計算のように計算をすること自体の面白さではない。モノを作っていくとき、試行錯誤をしながら進めていくのだが、それが予想通りに進められた時の面白さである。
 トラップを使った3バンド対応のEFHWアンテナを作った時のことである。20m、30m、40mバンド対応という仕様を考えた。20mと30mのトラップを作ることになる。Kits and Parts dot Comというトロイドコアを販売しているサイトに、トロイダルコアと巻き数などの関係を計算してくれるページがある。このページを利用させてもらい、周波数とキャパシタの値を入れて巻き数を計算する。今回はコンパクトに作りたかったのでT37#6というコアを使った。14.06MHzで68pFとすると25回巻けばよいことがわかる。10.13MHzの場合は120pFで26回巻くことになる。
 エレメントの長さはこれまで製作したときのデータからとりあえず、10.1m=2.7m=3.83mとして組み立てた。トラップの仕様が前回のものと異なるので、当然、この長さは要調整である。アンテナを伸展して測定してみる。それぞれのバンドの近くで整合点が見られるが最良点はだいぶずれている。
 まず、20mバンド。最良点の位置を探ると13.45MHz付近となっている。この時のエレメント長は10.1mであるので目的の14.06MHzに動かすためには
λ×f=300という波長と周波数、速度の関係から波長と周波数は反比例の関係になっているはずである。従って 13.45×10.1÷14.06 から9.66mという値を得た。10.1-9.66から44cm短くすればよいことになる。短くして測定すると14.06MHz付近でSWRが1.1になっていた。
 同様に30mバンドでは最良点が10.31MHz付近になっていることから
(9.66+2.7)×10.31÷10.13 で12.58mにすればよいことがわかった。そこで
12.58-9.66-2.7 から22cmエレメントを伸ばすことにした。これも測定してみると10.13MHz付近でSWRの最良点になっていた。
 最後は40mバンドである。測定すると現在の状態では最良点が7.67MHz付近になっている。エレメントの長さが足りないようだ。そこで
(9.66+2.7+022+3.83)×7.67÷7.01から 17.95とすればよいことがわかった。17.95-16.41で1.54mを継ぎ足すことにした。測定でも7.01MHz付近でSWRの最良点を確認できた。 ものづくりは試行錯誤で課題を解決していくのが醍醐味だが、こうして計算で求めた値が思い通りの結果を出してくれた時、面白さを感じる。理論はそうなっていると言ってしまえばそれまでだが、こんな些細な場面でも達成感が味わえるものである。

Old Gadget

f:id:shig55:20200910073337j:plain

昔作った測定器

 タイムスタンプを見ると2006とあるので、もう14年も前の作品である。KD1JV Steveさんの発表された回路でNorcal Qrp ClubからTuner Upperという名称でキットが発売された。水晶発振子を使って発振したRF信号をインピーダンスブリッジに供給する。そのブリッジの一つにアンテナ回路を接続し、ブリッジの3つの抵抗は50Ωとしておく。アンテナのインピーダンスが50Ωになるとブリッジが平衡してブリッジの交差した部分の電流が流れなくなる。これを利用した測定器だ。
 電流が流れなくなる部分にLEDを入れておけばアンテナのインピーダンスが50Ωに近づくにつれLEDの明るさが減り、平衡した状態で消えることでアンテナのインピーダンスを50Ωに合わせる表示器となる。
 その後、Jackson Press HarberからTenna Dipperという回路が発表された。これは発振周波数を可変にしたもので、いくつものバンドでこの測定ができるようにしたものだ。
 今では主流になっているアンテナアナライザーも同様な仕組みで、表示がグラフ化されて大変わかりやすく使い勝手が改善されている。

 埃をかぶっていたTuner Upperを持ち出してきた。MLAの調整に使えるか試したのだ。測定の仕組みは昔も今も大きくは変わっていないので、もちろん、使うことができた。MLAの場合、同調点が大変に狭いので、LEDの輝きでそれを見つけるのは容易である。MLAのキャパシターを大きく動かして、LEDの変化を確認し、大まかなところを見つけておく。その付近でゆっくりキャパシターを変化させ、LEDが消える位置を探す。言葉で書くと長くなるが、ほんの少しの手順で同調点を見つけることができる。
 この昔の測定器はSWR計を使ってトランシーバーから電波を出して調整するよりも、微弱な電波で測定することができるので、ほかの方へ迷惑をかけることが少ない。コンパクトな測定器なので携帯にも便利である。技術がどんどん進んで、日々新しい製品が生まれているが基本的な原理は変わっていないことが多い。マニュアルに首っ引きで新しい製品を使うよりも、身の丈に合った中身のわかるものを使い、自分なりのスピードでアマチュア無線を楽しんでいく。そんな道もあってよいのではないかと考えている。

 それにしても昔作った機器が部屋の中を占領している。断捨離をしなければならないといつも思っているのだが行動に移せない。「身体が動くうちはもう少し」と、言い訳が続く・・・・・。